上空でクロール

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『ラストエンペラー』


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■1987年 伊中英合作
■監督 ベルナルド・ベルトルッチ
■出演 ジョン・ローン坂本龍一

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故宮(紫禁城)を貸し切り、撮影が行われ、当時は大いに話題になった。

紫禁城はさすがに雄大で、圧倒的である。本作品の肝は紫禁城だと、個人的には思っている。子供のころに観た影響か、中国の歴史的建造物と言われたら、紫禁城が真っ先に頭に浮かぶ。

主人公は清の最後の皇帝であり、満州国の皇帝にもなった溥儀。幼少のころ、西太后の指名により、清の皇帝となる。

幼帝は紫禁城の新たな主となったが、残念なことに、清国の時代は幕を閉じようとしていた。


子供時代の知識だと、中国=自転車がたくさん走っている国=ブロッケンマンをキャメルクラッチで真っ二つにしたラーメンマンの出身国、だった。あと、雑技団か…

ともあれ

主人公・溥儀は実在の人物だが、本作品は史実を忠実に再現することに、こだわっていない。それでも、清国の皇帝が送るであろう生活を垣間見ることができる。皇帝の重要な仕事は子孫を残すことだから、やはり夜の営みは至れり尽くせりである。エロくはないが、手がこんでいる。間違っても、多目的トイレで済ませたりはしない。


溥儀が長じて、日本に利用されたことは間違いないだろうが、日本を使って己の野望を実現しようと試みたのもまた、事実ではないだろうか。

当時(近代)のほとんどの皇帝・王は覇者ではなく、高貴な血を受け継いだ子孫という、シンボル的な存在であり、主体的に行動することはなかった。

だが、溥儀は亡国の皇帝であり、手探りで動き、選ぶことが求められた。ミスをしたら、そこで終わりである。うまく立ち回って、名ばかりであったとしても、皇帝として生きたい。そのためには、助けが必要だ。後ろ楯が欲しい。欧米は助けてくれなかった。ならば、頼れるのは…

というわけで、日本の出番になるのだが、我が国は敗けてしまった。

溥儀は捕らえられ、収容所に送られ、一般人になった。それでも彼は中華の皇帝としては、幸せな晩年を送ることができたほうである。



甘粕正彦を演じた坂本龍一が、作曲も担当。米国アカデミー賞の作曲賞を受賞した。

また、本作品は作曲以外でも高い評価を得ていて、アカデミー賞の作品賞、監督賞、撮影賞、脚色賞、編集賞、録音賞、衣裳デザイン賞、美術賞を受賞している。