上空でクロール

映画の私的感想ブログ

『ソルト』2010年 アメリカ / 監督 フィリップ・ノイス / アンジェリーナ・ジョリー

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イヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は以前、東アジアの独裁国家でスパイの嫌疑をかけられ、拷問を受けた。イヴリンことイヴは無論スパイ(CIA職員)だが、何をされても吐かなかった。運よく、総書記が取引に応じてくれて、解放された。



要するに、イヴはタフなスパイなのだ。彼女のような、アクション映画で主人公になれるスパイは、大抵、かっこいいし、悪さをしない。無敵であり、正義の味方であり、愛する人を大切にする。



そんな彼女のもとに、ロシアの亡命者オルロフが訪ねてくる。彼はこんなことを言う。

“かの有名なオズワルドはロシア人であり、ロシアが育て上げた暗殺者だ”

彼は続ける。

“ロシア各地より子供をかき集め、アメリカ的な教育を施し、スパイを育成した”

そして

“子供たちの一人で、とても優秀な少女を、アメリカに送った。彼女はアメリカ人として生き、ある作戦のために備えている。作戦とは、ロシア大統領の暗殺だ!”


その彼女とは誰だ! という点は脇に置いといて…というのも、それは大した謎ではないからだ。それより、作戦のほうが不可解である。


ロシアの潜入スパイが、ロシアの大統領を暗殺するという、わけのわからん作戦なのだ。映画開始20分でそんな、意味不明な作戦を提示されたら、我々は食いつくに決まっている。アクション好きなら、わくわくする展開だろう。なんとなく読めるところもあるが、それでもやっぱり見入ってしまう。




イヴは頭の回転が早く、とにかく強い。デンジャラス・ビューティ(?)だ。図体のでかい野郎どもをわさわさとぶっ倒していくのを観て、爽快感を味わうことができる。


Blu-rayだと、別パターンのエンディングを二種類観られるらしい。要するに、劇場版とBlu-ray版で、三種類のエンディングがあるのだ。とはいえ、自分は別パターンを観ていない。ある映画関係のブログにそう書いてあった。ブログには、エンディングの詳細も、記されていた。劇場版以外のエンディングも、作品の本質から逸脱したものではなかった。


Amazonプライムで観られるのは、劇場版である。どのエンディングであれ、イヴはクールだし、映画の本質は変わらない。走り方とふくらはぎの貧弱さ以外はパーフェクトな女スパイである。
 


『戦場のピアニスト』2002年 フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス / ロマン・ポランスキー

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確実に観たはずなのに思い出せなかったので、 もう一度視聴した。始まってすぐ、あーーーーとなったが、せっかくなので、最後まで観ました。


「戦場のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック

「戦場のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック

  • 発売日: 2010/04/01
  • メディア: MP3 ダウンロード


主人公はユダヤポーランド人のピアニスト・ウワディク(エイドリアン・ブロディ)。舞台はポーランドワルシャワ

ちょうど、イギリス、フランスがナチス・ドイツに宣戦布告をした時期である。ポーランドは英仏の参戦に大喜びだったが、あえなくドイツに呑み込まれた。ぬか喜びだ。


ドイツがワルシャワで始めたことの一つに、ユダヤ人への徹底的な迫害がある。


まず、ユダヤ人は財産の所有を制限される。カフェへの入店もできなくなる。公園への立ち入りも許されず、ベンチに座ることもできない。舗道は歩けず、車道の端を歩かされる。ダビデの星(六芒星)の腕章を着用させられ、居住区(ゲットー)を決められ、隔離される。ワルシャワ・ゲットーのユダヤ人口はおよそ36万人。時は1940年10月31日。


ウワディク一家(老父母と姉二人、弟)も、ゲットーへの移住を余儀なくされる。ゲットーの衛生状態は最悪で、人々に生気はない。ドイツ兵の気まぐれで、虐げられ、射殺される。終わりの見えない地獄である。


ウワディクはゲットーのレストランでピアノを弾いて日々を過ごす。客はゲットーの住人、ウェイターもゲットーの住人。皆、六芒星の腕章をつけているので、異様な光景に見える。だが、このときはまだ、ゲットーに富裕層がいた。隔離された社会でも、階層は生まれる。うまく生きる人もいれば、道端に屍を晒す人もいる。

うまく立ち回る人々も、安泰ではない。迫害は日増しに強くなる。今日生き延びても、明日はどうなるかわからない。ゲットーに留まっている限り、地獄は終わらない。ウワディクはある決断をする。



戦場のピアニスト(字幕版)

戦場のピアニスト(字幕版)

  • メディア: Prime Video



ゲットーの住人たちは最終的に、トイレもない列車に乗せられ、収容所に送られ、ゲットーは解体された。ナチスの手先となり、同胞を迫害したゲットーのユダヤ人警察官たちも皆、用済みとなり、収容所送りとなった。この時期、彼らはまさに受難の民だった。


戦争となれば、そういうことも起こり得る。


『教場』長岡弘樹 / 小学館文庫


『教場』

警察学校を舞台とした作品。


目次

第一話 職質

第二話 牢問

第三話 蟻穴

第四話 調達

第五話 異物

第六話 背水

エピローグ



感想(ネタバレ)

本作品は連作であり、一話ごとに主人公(視点)が異なる。彼らの共通点は、風間教場の生徒であること。


風間が受け持つクラスでは、実に様々な事件が起きる。3年B組なみに問題児ばかりだ。但し、風間は、問題児であっても、警察官としての適正がある者はやめさせない。


大抵どの話も、生徒間の争い・対立になっている。風間教官はそこに介入していく。


たとえば、第一話では、紛失物から落ちこぼれの事件を未然に防ぐ。第二話では、思い込みで無用な事件を招いた女子生徒を救う。第三話では、結果的に、キレるととんでもないことをやらかすような危ない奴を学校から追い出すことに成功する。


不気味で、シニカルで、時として滑稽な風間という教官を通して、我々読者はシビアな世界を垣間見ることができる。


ひどい教官ではあるが、そういう人間も警察には必要なのかもしれない。人が良いだけで勤まる仕事ではないだろう。



キムタク主演のドラマ『教場』の感想
kaigodays.hatenablog.com