上空でクロール

介護福祉士による雑記。主に、映画・本・時事。目標は1000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

佐藤賢一『フランス革命の肖像』集英社新書

肖像画

フランスには画家がたくさんいる。しかも、世界の最先端である。見ていて、飽きることはない。彼らは写真がない時代、激動の時代に、事件を描き、民衆を描き、偉人を描いた。


肖像画は美化されていることが多いけれど、その人の持つ雰囲気などは細かい表情に表現されていて、実に多くのことを語っている。


超男前に描かれたナポレオンはあまり好きではないが、輝きの強さも加味していると思えば、納得できないこともない。


本書の特徴

作家の佐藤賢一さんが、優しい語り口で、フランス革命期の登場人物の解説をしている。しかも、肖像画つきで。こんなにわかりやすい革命史はないし、すごく面白いし、小難しくて何を言っているのかわからない本も貴重だけれどそれを読む前にこれを是非おすすめしたいところである。


優しい語り口、と書いたが、革命家への顔判定は若干、厳しい。けっこうな数の人が醜男と書かれている。しかし個人的には、そんなにひどいかなと思う人もいた。



おわりに

肖像画の下に生没年が書いてある。没年が革命期だと、ギロチンかと。『死刑執行人サンソンー国王ルイ十六世の首を刎ねた男』に書かれていたが、ギロチンで、以前(執行人が剣で斬首したり、ロープで絞首したりしていたとき)より簡単に処刑できるようになったことには、やはり大きな問題があったように思う。ロベスピエールは当初死刑反対派だったはずだが、結局、恐怖政治の立役者になってしまった。歴史が動き出すと、個人の力ではどうにもならない、抗うことはできない。
 

『ザ・ファブル』

The fable

生ける伝説みたいな殺し屋・佐藤明がフツーの生活を送ろうと試みるが、反社勢力の内部抗争に巻き込まれる。

2019年 日本


縛りプレイ

ある日、明はボスに言われる。一年間、フツーの生活を送れ、と。殺しは一切なし、と。そして、大阪のある会社を頼るように言う。明は凄腕だけれど、異様に素直な青年なので、ボスの命令に従う。


大阪のある会社とは、こてこての反社会的勢力である。見てくれからして、まさに。やっていることも、フツーではない。明はその会社の社長(若頭的なポジション)に住むところを提供してもらい、バイトを探す。時給800円の仕事を得る。


明がフツーの生活を飄々と送っていると、反社勢力の社内でゴタゴタが起こる。制御できなくなった社長は、明に頼る。バイト先の女の子が巻き込まれていたため、明は仕方なくゴタゴタに介入する。但し、ボスの命令は絶対なので、命は奪えない。ここがもどかしいながらも、すごいところだ。

古いタイプの与太者

ゴタゴタの直接的な原因は、社長の舎弟の出所だ。勢いがあって、むちゃくちゃやるタイプで、極道映画などによく登場する破滅型の人間である。そういうタイプの極道は昭和の頃から、たくさん描かれてきた。大抵、最後は救われない。


おわりに

そもそも、反社会的勢力に明のことを頼んだボスの頭が一番どうかしてるんじゃないのと思った。

個人的には、アクション映画にシビアな論理性は求めていない。

アクション映画は無理な設定やプロットを押し通すジャンルであり、ツッコミどころ満載であることをモノともしないで、ある種のカタルシスをお客さんに届けることを目的としている。けなそうと思えば、いくらでもけなせるのだ。


本作品に関して言うと、ボスの存在は重要である。ボスの明に対する親心と、社長の舎弟に対する愛情が、シンクロしている。物語を表現する上での基本的な企みだ。ボスが間抜けだと、効果が薄くなってしまう。なので、ボスの存在に限って言えば、どうかなというところだ。ただし、演じる佐藤浩市さんはクールである。




本作品のアクションに関しては近接戦・肉弾戦が多く、けっこう攻めていた。銃撃戦はゲームのようで、重々しさは全くない。無双できるのに縛りがあって苦戦する明を見ていると、歯痒さを覚えつつも、応援したくなる。


原作は漫画と知って、なるほどなと。機会があったら、読んでみよう。