暗い、とても暗い映画だ。
物語の舞台は、障がい者施設。
何て言えばいいのか、福祉の世界については、なかなか言いづらいものがあるのだが、一般的に、重度の方々のいる施設は軽度の方々のそれに較べ、陽の光に恵まれず、不自由であり、恒常的に雑に扱われ、職員らの心が荒んでいる傾向にある。
ま、多くの人の予想通り。
福祉介護のリアルとされている作品は、概ねネガティブだ。実際、差別はあるし、事件は多いし、社会問題でもある。ただ、負とともに正はあり、マイナスとともにプラスもある。その世界では、笑いもあれば、達成感もあるし、楽しく働けている人も、たくさんいる。カラッと晴れたような事ばかりではないけれど、ドス黒いだけの日常ではない。ブラックな職場もあれば、そうでない職場もある。それは〈フツーの職種〉と変わらない。
弄便の扱い方、描写には首を傾げたけれど、作品内の職員らの言動は、驚くほどリアルだ。そうならない為には、どうすればいいんだろう。どの施設も、模索中だ。
この作品と、モデルとなった事件を、決して忘れてはいけない。