上空でクロール

介護福祉士による雑記ブログ。主に、映画・本・時事。目標は1000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『アメイジング・グレイス』2006年イギリス / 監督 マイケル・アプテッド


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What's it about ?

奴隷制廃止を目指す、イギリスの若き政治家たちの物語。

CAST

ウィリアム・ウィルバーフォース 
若手の政治家
(ヨアン・グリフィズ)


ウィリアム・ピット
ウィルバーフォースの友人、政治家
(ベネディクト・カンバーバッチ)


チャールズ・ジェームズ・フォッス
政治家
(マイケル・ガンボン)


バナスター・タールトン
政治家
(キアラン・ハインズ)


ジョン・ニュートン
牧師
(アルバート・フィニー)


トマス・クラークソン
奴隷制反対運動の活動家
(ルーファス・シーウェル)


以上、実在した人物


COMMENTS

時は18世紀末。
イギリス国内において、奴隷貿易奴隷制に反対する人はごくわずかだった。


当時、奴隷はモノであり、財産である。放棄しろと言われて困らないのは、奴隷が支える経済圏の外で、活動している人に限られる。奴隷制反対の人が少ない、ということは、奴隷に依存する人々が多いということにほかならない。


とはいえ、奴隷の過酷な境遇に眉をしかめる人々がいたのも、事実だ。


奴隷となった人は、まず、船に連れていかれる。手枷足枷をはめられ、首輪をつけられ、狭い仕切りに閉じ込められる。少量の食事と汚染された水が与えられる。排泄物はそのまま。病人は海に捨てられ、女性は船員に暴行を受ける。彼らの半数は移動中に亡くなる。プランテーションに送られる前、肛門に綱を入れられる。赤痢を隠すためだ。売買を経て、プランテーションに到着したら、コテで焼き印を押され、所有物になる。


主役のウィルバーフォースは若き政治家。弁が立ち、清廉で、熱い。

フランシス・ベーコンにかぶれた執事とのやりとりは滑稽で、にやりとさせられる。


個人的には奴隷制賛成の政治家、バナスター・タールトンが、苦み走っていて、よかった。演じていたのは、海外ドラマ『ROME』でカエサル役だった、キアラン・ハインズ
旧弊にしがみつく老害の役回りだが、陰謀に走ったり、刺客を雇ったりはしない。


議会には、当然、嫌な議員や癖のある議員もいるけれど、一様に紳士に見えるから不思議だ。


ウィルバーフォースをはじめとする、奴隷制反対派のメンバーは、奴隷貿易の実態を調べあげ、公表することで、支持を広げていく。当時はネットなんてないから、街頭演説と刊行物で人々の良心に訴えるしかない。動画を撮って、アップして、再生回数を稼いで、広告収入を得る、というわけにはいかない。



本作品は、歴史を深く掘り下げて生み出されたものではなく、印象的なエピソードの積み重ねで構成された映画だ。
おそらく、制作国イギリスでは、歴史上の人物ウィルバーフォースと彼の活動はよく知られており、くどくど説明する必要性がないのだろう。見せ場になりそうな場面も、さらっと流される。

この時代の英国を知らない自分としては、もうちょっと情報をもらえると、ありがたかった。


もっとも、自分で調べれば解決する些細な問題だ。



アメイジング・グレイス」の作詞者ジョン・ニュートンは、元奴隷船船長の牧師。作曲者については諸説あり、定かではない。