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雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『はじめての人のための3000円投資生活』


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本書はとても売れたようだ。

ブックオフにたくさんあった。

ブックオフにたくさんあることは、悪いことではない。多くの人に読まれた証である。見方によっては、一抹の寂しさを感じないでもないが…

 

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さて、本書では、3000円から始める投資が推奨されている。3000円をリスクの低いファンドに投資しつつ、貯金して、生活防衛資金を分厚く取る。投資と貯金のために、家計を見直す。慣れてきたら、投資額を増やす。無理なく、比較的安全に投資をしてお金を増やすための入口を、本書は提示してくれる。

 

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(但しどんなに素晴らしい意見も、鵜呑みにしてはいけない。投資に絶対はないし、全ては自己責任の世界である。考えて、考えて、考え抜いて…、が延々と続く)

 

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最近、本書も含めた投信への低リスク投資を勧める本を、よく手に取る。どれも悪くないし、読めば参考になる。大抵、正しいことを言っている。はっきり言うと、どの本にも、似たようなことが書いてある。若いうちに吟味して実践すれば、小金持ちになれるだろう、と。

若いうちは、お金より大切なものがたくさんあるかもしれない。お金より大事なものがたくさん見えているかもしれない。それはそれで幸せなことだと思う。

ただ、若いうちにインデックス投資を始めれば、驚くほど簡単に金の増える可能性が高い。いともたやすく。長い時間をかけて積立投資をしていくと、複利が絶大な力を発揮するためだ。まさに、タイム・イズ・マネー。

 

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ここで一つの例を。

ある親類の話だ。

彼は大学生の頃から投資をしていた。でも勉強はしなかった。そのときそのときの流行りの株に手を出すタイプだった。

彼が亡くなったとき、相続人は皆、株の知識がないので、生前彼の投資話の聞き役だった自分が呼ばれた。

彼の投資先は国内株メインだった。銘柄は茹だるほどあったが、さっと見てわかった。90%が赤字企業だった。彼はそれらの銘柄をぼくに言わなかった。たぶん、言いたくなかったこと、見せたくなかったことだ。すごく嫌な気分になった。同時に、個別株で儲けることの難しさがよくわかった。彼は何十年も投資してきて、確実に金を減らした人だった。

 

けれども同時に、投資を趣味として楽しんでいたことに間違いはなかった。

 

暇な時を喜びで満たすことができたら、たとえ金を失っても、惜しくはないだろう。彼にとって投資は金を増やす手段以上の、生活の一部だった。いい会社に就職して、定年まで勤め上げて、たっかい退職金をもらって先物に突っ込んで溶かした人だったが、なんだかんだで貯金していたし、温かい家族に恵まれていた。

 

お金がないと厳しいが、お金があるだけでは味気ない。人生、何が幸せかはわからない。インデックス投資は一つの最適解とされるが、それぞれの人生・欲求に合致しないなら無用である。

 

人生の最終段階においては、金持ちも貧乏人もさして変わりはない。体が動くうちに、好きなことをしておきたい。自由こそ、全て!