■1995年 アメリカ
■監督 テリー・ギリアム
■出演
□ブルース・ウィリス
□マデリーン・ストウ
□ブラッド・ピット
■COMMENTS
西暦2035年、ウイルスの蔓延により、人々は地下での生活を強いられていた。公開当時、何気なく観ていて、まさか(インフル以外の)ウイルスの大流行を自分が経験することになるとは、夢にも思わなかった。ウイルス流行による人類の危機は、ありがちな予言の一つでしかなかったと思う。但し、本作品のウイルスは致死率がべらぼうに高く、全人類の99%が姿を消した。
地上の建物群はもはや廃墟で、動物や昆虫の巣と化していた。ある日、終身刑で服役している囚人コール(ブルース・ウィリス)は大幅な減刑を条件にある任務を与えられる。それは人類をウイルスから救うためのミッションだった。コールは任務遂行のため、過去にタイムスリップする。1990年だ。
96年に飛ぶつもりが、タイムマシンの不調のせいか、なぜか90年にきてしまったコール。警察に拘束され、精神病院に送られる。そこでジェフリー(ブラッド・ピット)という患者と知り合う。
コールは病院の医師たちにウイルスのことを話すものの、理解されるはずもない。未来人が未来を証明することはひじょうに難しいのだ。コールは結局どうすることもできず、未来に戻される。
コールを過去に送り込んだ科学者たちは“12モンキーズ”という集団、つまりはウイルス蔓延の原因に関係すると思われる集団の写真を彼に見せる。何枚目かの写真にはジェフリーの姿が映っていた。コールは再び過去に向かう。今度は何とか96年に到着。
コールは、ジェフリーと知り合った病院で自分の担当医だったキャサリンを襲い、無理やり車を運転させる。目的地はフィラデルフィア。12モンキーズのアジトがある、とコールは言う。ここで彼の目的がはっきりする。目的とは、ウイルスを撒いたと思しき団体“12モンキーズ”の調査と、治療のために必要となる純粋ウイルスを入手することだ。
コールはこの任務を受けるために生まれてきたような人間だ。人類が偶然彼を選ぶことができ、また、無謀なタイムスリップを成功させることができたのは、実に幸運なことだった。名もなき英雄の物語である。