■2007年のアメリカ映画
■監督 ポール・ハギス
■出演
□トミー・リー・ジョーンズ
□シャリーズ・セロン
□スーザン・サランドン
■COMMENTS
父のもとに一本の電話が…
軍からの電話だ。
それによると、イラクに従軍していた息子が、帰国後、無断で隊から離れた、つまり、離隊したらしかった。父は息子に電話してみるものの、もちろん、息子は出ない。
父は手がかりを得るため、兵舎を見に行く。そのとき、息子の携帯電話を密かに持ち出す。業者に解析してもらうと、イラクでの任務中の動画や画像を見ることができた。それは生々しい従軍記録だが、全体像は不明だ。断片を観て、想像するしかない。
そんな折、息子捜索のため、モーテルに泊まり込んでいた父のもとに、正装の軍人が訪れる。軍人が正装に身を包むのは、めでたいときか、めでたくないときである。
このときは、残念ながら後者だった。
息子が事件に巻き込まれて亡くなったことを知らせにきたのだ。
刺されてから焼かれたらしい。
父は真相を知るため、軍警察ではなく、地元の刑事を頼る。
威厳と悲哀。
息子を失った父役のトミー・リー・ジョーンズの表情・声のトーンには、実に打たれるものがあった。BOSSのおっさんとは思えなかった。その妻役・母役のスーザン・サランドンも、さすがだった。
父が息子の最期の真相を知ると同時に、戦地における息子の、明るみには出せない行動もわかる仕組みになっている。多層化された悲しみが本作品の特徴である。
こういう映画を観ると、みんな幸せになれないものかと、つい思う。