What's it about ?
ある楽園(共同体)の終焉
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カルト教団やそれに類似した団体は、新たに国を作ろうとしている、もしくは既に国家のようなシステムを作り上げている。
要するに、国の中にありながら、国の法を超越した教義や規則によって、信者を統制しているわけだ。
その性質上、極めて排他的であり、急進的になりがちである。キリスト教も、初期の頃は相当過激だったはずだ。
本作品の“共同体”は、ある宗教団体をモデルにしている。カルト教団に関して、ある程度の知識があるなら、“共同体”の内実は容易に理解できるだろう。
ぼくもそんなに詳しくないまま視聴したが、予想通りの醜悪さを底に秘めた組織だということは、すぐにわかった。
特徴の第一は、ドキュメンタリーの体裁をとっている点だ。つまり、疑似ドキュメンタリー。モキュメンタリーだ。
リポーターとカメラマン、他一名がエデン教区と名づけられた“共同体”の取材に向かう。そこには“お父様”と呼ばれる主宰者がいる。でっぷり太っていて、とてもうさんくさい。うさんくささは時とともに、堪えがたい強烈な臭いを放つ。
あまり言いたくないが、“お父様”が愚かすぎる。間抜けだ。この人が取材を許さなければ、楽園はとりあえず、しばらくは無事だったのに…
取材を許すにせよ、中途半端に対応するのではなく、どこかの独裁国家みたいにコントロールすればよかったのに…
刹那的で、身勝手で、臆病なお父様のために、多くの人々が犠牲になる。
(あ、既視感が)
(あれ?)
(我が国にも似たような)
(ま、いいや)
しかしここまで救いのないストーリーだと、好きになれないのが本音。ホラーの多くは救いがないけれど、個人的にはこの映画、ホラーとして観ることができなかった。善良な人々・子供たちがバタバタ逝く映画は、ごめんなさい、ムリでした。最後まで観るには観たけれど、どんよりした気分になった。とはいえ、それが狙いだろうから、映画としては成功しているに違いない。
公平に言えば、B級感はなく、カルトの攻撃性が内に向かったときの悲劇を、無駄なく描いている。