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9.11のような惨劇を防ぐ目的で、収容所ができた。管轄はCIA。映画や海外ドラマによく出てくるお馴染みの、世界一の規模を誇る諜報機関だ。
CIAは情報提供者からのタレコミにより、アラブ系の人々をテロ組織関係者として拘束。一々、裏は取らない。大統領や司法省には、テロ組織の大物と伝え、尋問プログラムの許可を得る。
ここで言う尋問プログラムとは、“科学的に裏付けされた尋問の強化技法”のこと、つまりは拷問である。全裸で壁に叩きつけたり、大量の水を飲ませたりすることは、もはや尋問とは言えまい。
大統領(小ブッシュ・オバマ)は、CIAにゴー・サインを出したとき、拷問が行われるとは知らなかったようだが、科学的に裏付けされた尋問の強化技法という、わけのわからんもんに了解したことは間違いない。
2004年にアメリカ兵の捕虜虐待が露呈していたにも関わらず、アメリカ国内では平然と、それ以上に過激で醜悪な“尋問”が行われていたのだ。
ちなみに、捕虜虐待に関わって逮捕された元女性兵士は、FBIとCIAに虐待を奨励されたと語っている。但し、それが真実かはわからない。そういう話もある、という一つの例にすぎない。
アブグレイブ虐待で有罪になった米国女性兵士へのインタビュー https://t.co/zs3pb5kBfW
— 高空でクロール (@eigasekai_news) 2019年12月10日
“虐待技法”を推進した心理学者と、実行した尋問者は、アラブ系の人々を人とは思っていない。彼らはアメリカの敵とされた。アメリカの敵は人以下の存在なのだ。
行きすぎた“尋問”で死者も出た。冷水を浴びせて、朝まで放置。死因は低体温症。
直腸栄養法という“尋問”もある。肛門にチューブを挿し込み、水を入れる。一定量注入したあと腹を押すと、口と耳から水が噴き出す。
拷問しても、効果があれば、つまり、有益な情報を引き出すことができたときは、アメリカを救ったということで合法となる。
しかし拷問が招いたのは、苦し紛れの嘘と既知の情報のみだった。そこで拷問を正当化するために、他で得たネタを拷問で得たと偽装した。汚い話だ。
収容数は119名。そのうちの25%はテロとは無関係の市民だった。
本作品の主人公ダン(アダム・ドライバー)は上院議員(アネット・ベニング)に雇われ、依頼されて、拷問の事実を調査し、報告書にまとめあげた。
彼は膨大な時間を費やし、CIAの地味な妨害にもめげないで、歴史の暗部を探り当てた。
報告書に登場するCIA職員は罪に問われることもなく、多くは尋問プログラム終了後に昇進した。