上空でクロール

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『ビッグショット・ダディ』ロビン・ウィリアムズ主演 / 幻想を作り出し、熱狂させておいて、冷や水を浴びせる、哀しいおじさんの物語(ブラック・コメディ)


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2009年(アメリカ)

監督
ボブキャット・ゴールズウェイト

日本未公開。WOWWOWで放映されたときのタイトルは『ディア・ダディ 嘘つき父さんの秘密』
DVDレンタル開始時に、現在のタイトルとなる。


感想

・カイル(息子/男子高校生)は嫌われもので、性に関して異常なまでに執着している。たとえば、自らの首をネクタイで絞めて、独りでしたり、隣人の老婆の着替えを覗いたり。自分に正直で、どうしようもなく下品な青年だ。そのくせ〝アバズレ〟はお気に召さない。自分は好き勝手やるが、女はダメ、というわけだ。少年らしいと言えば、少年らしい。

・一方、父のランス(ロビン・ウィリアムズ)は作家志望の高校教師。息子の通う高校で詩を教えている。よく笑顔になるけれど、哀愁が漂いまくりである。息子のカイルになめられ、同僚の若い女教師に振り回されている。存在自体が悲しい。

・父子家庭で、兄弟はいない。上記二人の親子を軸として、物語は進む。転換点は40分過ぎ。カイルが窒息寸前のプレイに興じているときに、逝ってしまう。帰らぬ人となる。ランスは、もっともらしく見せるため、部屋のドアで吊ったように偽装、〝遺書〟を書く。

・ランス作〝カイルの遺書〟はやがて、生徒教員たちの知るところとなる。もちろん、ランスの書いたものとは、知るよしもない。
みんな、生前のカイルを毛嫌いしていたのに、〝遺書〟を熱心に読み、心を動かされる。ある者にとっては、心の拠り所になる。
ランスは作家志望だ。読まれて評価されたら、創作意欲が増す。カイルのものと嘘をついて、〝日記〟を発表。執筆者はランスだが、人々は熱狂をもって手にとり、読みふける。ランスはカイルの父として、テレビに出演する。

・カイルではなく、自身の本の出版を持ちかけられるまでになるが、結局、ランスは嘘を告白。自らが作り出した幻を破壊して、清々しさに浸る。笑顔がなんとも切ない。