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みなさん、西村京太郎という作家をご存知でしょうか?
ぼくは名前しか知りませんでした。
膨大な量のミステリーを執筆され、数多の作品がドラマ化されましたが、個人的には読んだこともなければ、観たこともありませんでした。
それでも、十津川警部の名はなぜか、知っています。なぜだろう。名探偵…、いや、名刑事だからか?
2
ミステリーにしては、ずいぶんのんびりというか、牧歌的な父娘と、東京からやってきた、どこか奇妙な男。作家を名乗るも、代表作はない。父娘は男に興味・好奇心を抱いて、接する。男は二人の好奇をのらりくらりと躱す。父娘のやり取りに全然緊張感はないものの、怪しい奴らはどんどん出てくるし、殺人らしき事件も起きる。そこでやっと、十津川警部の登場である。
3
文章は読みやすくて、読みやすくて、ホイップクリームのようにどんどん入ってくる。通勤中の電車内でも淀みなく読み進めることができそうだが、あいにくこちらは車通勤。雑技団の人間ではないので、運転しながらの読書はムリだった。残念…
現実的に考えて、本シリーズを全て揃えて読破するほどの勇者にはなれそうにもないが、予想していたより楽しい時間を過ごせたし、古本屋で見かけたらまた買ってみようと思った。
こんなことを言ったら大いなる誤解を生みそうだが、率直な感想として言わせてもらうと、池波正太郎の『剣客商売』を読んだときの感覚と似たようなものを感じた。