◼️2009年 米英独
◼️監督 トム・ティクヴァ
◼️出演 クライヴ・オーウェン/ナオミ・ワッツ
◼️COMMENTS
邦題はバンクだけれど、緻密な金融サスペンスではない。
原題は“The International”
問題のバンクは、ルクセンブルクのIBBCという巨大銀行だ。世界的な銀行とのことなので、想像がつかない。イメージできないものは大抵、胡散臭く見えるもので、悪役にはぴったりの組織だと思った(笑)
IBBCの悪事とは、ミサイル誘導装置の購入だ。兵器は無断で売買してはいけない。問題は、銀行がなぜそんなものを? 何のために? 何の得が? 仲介業者になったところで大した儲けは出ないはず…
◇ ◇ ◇
ニューヨーク検事局の調査員が、IBBCの情報提供者とベルリンで接触するも、別れた直後、不審な死を遂げる。ともに捜査をしていた、インターポールのサリンジャーは青酸カリによる毒殺と推測するが、巧妙な仕掛けを見破ることができない。
これまでも、IBBCの闇に関わってきた人々は命を落としてきた。やばい銀行なのだ。アメリカの、ニューヨークの検事局がわざわざ捜査しているのも、IBBCのNY支店が悪さをしているためだった。つまり、IBBCは世界中で悪さを働く、もはや金融業者の枠には収まりきらない、えげつない組織なのだ。
ぐっと落ち着いた雰囲気の作品だが、テンポは早い。サリンジャー演じるクライヴ・オーウェンの執念めいたものも、しっかり伝わってくる。特にIBBC関係者の胡散臭さは中々のもので、大いに期待を抱かせる。まさにサスペンスだ。点と点は線で結ばれ、結ばれたと思ったらぷつんと途切れ…。ただ、終盤は案外さっくりとまとまったな、と。
個人的には、ロスチャイルドやオズワルドなどを連想させるところもあって、楽しめた。緊張感が最初から最後まで続くので、飽きはこない。もちろん、同監督の『ラン・ローラ・ラン』みたいな笑いは1ミリもない。シリアスな作品である。