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雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『ジャッジ 裁かれる判事』


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2014年 アメリ


ロバート・ダウニー・Jr.主演のヒューマン・ドラマである。タイトルからもおわかりの通り、法廷は登場するけれど、メインは父子のドラマ、ある一家の過去と今を巡る物語だ。弁護士と検事によるバチバチの対決や逆転裁判カタルシスを想像して観ると、間違いなく肩透かしを食らう。


主人公のハンク(ロバート・ダウニー・Jr.)は超やり手の金持ち弁護士だ。金のためなら、悪人の弁護も引き受ける。正義のために、市民を騙す巨大企業と戦うようなことはない。


ハンクは、豪邸、高級車、高価なスーツ、美人の奥さん、愛娘、に囲まれた生活を送っているが、うまくいっているわけではない。奥さんに浮気され、結婚生活は破綻寸前の状態になっている。


ある日、母が急死したため、ハンクはインディアナ州の田舎町に帰省する。彼は判事の父親と仲違いをしていて、実家とは距離を置いていた。


父は頑固で、強圧的な性格だが、兄と弟はうまくやっている。次男のハンクだけは反抗的で、父と顔を合わせる度に言い合いになる。“事件”が起こらなければ、ハンクは葬儀のあとすぐに帰るはずだった。


“事件”とは、判事である父の、飲酒運転ひき逃げ死亡事故である。ひき逃げはもちろん許されない事件だが、被害者と父には因縁があり、予審を経て、故殺の容疑がかけられることになった。つまり、過失致死ではなく、殺人として起訴されたのだ。


日本なら、飲酒運転による死亡事故は危険運転致死傷罪に当たり、ほぼ確実に実刑となるが、インディアナ州では、そこまで飲酒運転に厳しくないようだ。過失なら刑務所に収容されないような感じで、話は進められる。執行猶予がつくのだろうか?


要するに、裁判の争点は故意に殺したか、過って殺したか、ということになる。ハンクはやり手という設定だが、裁判は主に父子の思いを鮮明にするための場として機能しており、サスペンス的な要素は少ない。展開も、スリリングとは言い難い。ハンクも検事も、敏腕ぽくて見てくれは◎なのだが、手に汗握る丁々発止のやり取りがないため、緊張感はさほどない。陪審員の個性も、生かされていない。


ジャッジ 裁かれる判事(字幕版)

ジャッジ 裁かれる判事(字幕版)

  • 発売日: 2015/05/27
  • メディア: Prime Video


本作品はあくまで、父子の対立をメインに据えて描いたドラマである。142分は長いし、ハンクと元カノや兄弟の物語にはあまり惹かれなかったが、判事役のロバート・デュヴァルは良かった。