上空でクロール

介護福祉士による雑記ブログ。主に、映画・本・時事。目標は1000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『ファイナル・アワーズ』


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2013年 オーストラリア


あと数時間で地球が滅亡するとしたら、みなさんは何をしますか?

最期を見届けるか、目を背けるか。一人で過ごすか、大切な人と迎えるか。

ひじょうに難しい問題だが、ぼくの場合、きっとなんとなく過ごしてしまうのだろうな、と。なんとなく生まれてきて、なんとなく死んでいく。なんとなく、それが自分にはふさわしいような(笑)



さて、本作品は人類終焉までの、ジミー(ネイサン・フィリップス)の行動と心理に焦点を当てた映画である。ジミーは身勝手で、女にだらしなく、酒やドラッグを常用しているフツーの輩だ。


舞台はオーストラリア西海岸のパース。北大西洋に隕石が落下したせいで、既にヨーロッパは消滅している。パースが消えてなくなるまでは、およそ12時間。人々は自ら命を断ったり、情欲に溺れたり、ドラッグに逃げたりと、思い思いのリアクションをとる。ダークな世界だ。


ジミーは現実を直視することができず、家を飛び出して車を走らせる。酒を飲んで、かっ飛ばす。もはや飲酒運転など、何の問題にもならない。あと12時間で世界は終わる。殺人も横行する。まさに無法地帯。滅亡前にわざわざ地獄を生み出す人間という生き物は、化け物以外の何者でもない。人は想像力により、生態系の頂点に立ったとされる。その力が負の方向に働くと、おぞましい世界を創り出す。


ジミーはたまたま、少女を誘拐した男に出くわし、女の子を助ける。少女ローズを保護してもらうために姉の家に寄るが、姉とその家族は既に死を選んでいた。ジミーは知人主催のパーティに向かう。騒いで、目の前のどうにもならない現実を忘れたい。


パーティでは、ほぼ裸の男女がプールサイドで踊り狂っている。ジミーは姉一家の最期を見届けたせいか、乱痴気騒ぎを楽しむ気分になれない。善きことをしたいと思うようになっていた。それは、少女の望みを叶えることだ。



広大な宇宙において、地球は実にちっぽけである。砂場の砂一粒より小さい。ここは宇宙の中心ではなく、人は特別な存在でもない。人類の叡知は地球上でしか価値を持たない。有効期限は我々の種が消え失せるまでのほんの僅かな時間だ。生命を生み、育み、滅ぼす、この宇宙とは一体…


パーティに行くか、人助けをするか、家族と過ごすか。人にできることは案外、少ない。たとえ地球が滅亡しなくても、選択肢が格段に増えるわけではない。最期の日がくるまでに何を選ぶか、本作品を観ていると、そんなことを考えさせられる。