マイケル(リーアム・ニーソン)は、60歳で住宅ローンを抱え、息子の私立大学進学を控えている(大金が必要)にもかかわらず、リストラされ、陰謀に巻き込まれます。
つまらないような、面白いような人生です。普通のおっさんはちょっと走っただけでバテますが、主人公は元警察官なので、そんなヤワではありません。
ただ、見た目は疲れたおじさんです。
繰り返される日常、日々襲いくる支払いの心配、リストラされた家族想いの男が会社に行くふりしてバーで時間潰し…
アイルランド出身のマイケルがやっと手に入れた幸福。それが崩れ去る危機にさらされている。
頭の中はマニーでいっぱいである。
そんなある日、電車内でジョアンナ(ヴェラ・ファーミガ)という見ず知らずの女に話しかけられる。彼女がミッションの伝達役だ。ミッションは一見、大したことはない。“大金と引き換えに、乗客の中から一人の人間を捜し出してほしい”。それだけだ。それで、報酬は10万ドル。悪くない。悪くないが、きな臭い。怪しい。マイケルも、話に乗るつもりはなかったが…
スピーディで、先が見えない展開。追い込まれるマイケル。逝っちまう人々。観客は手に汗握り、アドレナリンがふつふつと…
だが中盤辺りで、待てよ、と。
観ていて気になったのは、黒幕の知能。『フライト・ゲーム』の犯人もそうだが、頭がよろしくないなー、と。そもそもマイケルではなく、もっと信頼できる人間に仕事を任せればよかったのに。強大な力を持っているくせに、計画は杜撰極まりない。マイケルにやらせる意義が全く見出だせない。一応、答えは用意されているけど、それではなぁ。陰謀系の作品にアラがあるのはきついところです。
監督のジャウム・コレット=セラとリーアム・ニーソンのタッグは『アンノウン』『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』に続いて四度目。
エリザベス・マクガヴァン、サム・ニールといった脇役の存在が嬉しいかぎりです。