上空でクロール

雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『灼熱の魂』2010年カナダ / 監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ


スポンサーリンク

登場人物

ナワル・マルワン
レバノン出身の女性
(ルブナ・アザバル)

ジャンヌ・マルワン
ナワルの娘
(メリッサ・デゾルモー=プーラン)

シモン・マルワン
ナワルの息子、ジャンヌとシモンは双子
(マクシム・ゴーデット)

ルベル
ナワルの元雇い主で、彼女の遺言の公証人
(レミ・ジラール)

アブ・タレク
拷問人
(アブデル・ガフール・エラージズ) 


双子のマルワン姉弟が母ナワルの故郷を訪れ、兄と父を捜す映画。

監督は『ボーダーライン』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ


灼熱の魂 (字幕版)

灼熱の魂 (字幕版)


ナワルの遺言により、姉弟(ケベック在住)は初めて兄の存在を知る。
ナワルは父を捜して手紙を渡すことをジャンヌに、兄を見つけ出して手紙を渡すことをシモンに、それぞれ託す。

シモンは母によい感情を抱いていないこともあり、反発する。

ジャンヌは母の望みを叶えるため、1人で母の故国レバノンに向かう。

ジャンヌは理知的で、しっかり者だ。母の故郷を辿り、思いもよらなかった過去を知る。内戦中の出来事だから、母ナワルの体験は陰惨である。重い物語に触れたくないときは、本作品を観てはいけない。良作であることに異議はないが、目を背けたくなるシーンもある。


一方、頼りなく、斜に構えるシモンは、公証人ルベルに促され、共にレバノンへ行く。ルベルは金持ちで、人脈もあるらしく、地元の公証人に調査を依頼していた。そのおかげで、兄の存在はすぐにわかった。兄の過去も知った。兄の人生には、戦争が暗い影を落としていた。


この映画に出てくる子供たちは、とにかく、かわいそうだ。ジャンヌも、シモンも、彼らの兄も、彼らの父も、母のナワルも、かわいそうな子供である。


ちょっと踏み込んで言うが、事情を知った上であえて拷問人アブ・タレクを送り込んだとしたら、そいつの憎しみ・恨みは、あまりにも深い。


最終的に、母の愛で、その深すぎる穴を埋めることはできたのだろうか。