2010年(ブラジル)
監督
ジョゼ・パジーリャ
主演
ヴァグネル・モウラ
個人的な感想
冒頭から刺激的な展開。刑務所に3つの敵対する組織の構成員たちが収容されている。もちろん一緒にはできない。抗争が始まるから。それぞれ別の棟に入れられ、行き来はできない。
それがある日の事件で変わる。
とあるギャングが敵対する組織のボスを襲い、燃やしたのだ。高名な人道家が交渉のために駆けつけるも、解決には至らない。ボッピ(BOPE:特殊部隊)が鎮圧する。
事件の処理が済み、リオのスラムと腐りきった警察が描かれる。警官は賄賂を求め、私腹を肥やす。ボッピが組織を掃討するも、街に平和は訪れない。組織の代わりに、腐った警官が拳銃にものを言わせ、スラムを牛耳る。彼らは醜悪極まりないシステムを作り上げる。市民から金を巻き上げるシステムだ。
要するに、腐った警官が街を支配していく。そのやり方が本当に汚い。平和ぼけしたぼくが憤るほど、この映画には力がある。というのも、社会を描写することに成功しているからではないか。
ブラジルの裏社会については、ドキュメンタリー番組を見て得た知識ぐらいしか持ち合わせていないから、偉そうなことは言えないが、リアリティって言葉を使いたくなるぐらい迫真性を感じた。
劇中で音楽があまり使われないのがまた、記録映画的な雰囲気を引き出すことに成功している。ナレーション多めなのも、すこぶる効果的だ。
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この映画には、とても楽しませてもらいましたが、〝演説~開眼〟までの過程が、もう少し丁寧だったら、すごくぼくの好みでした。
えぐい描写が多いので、視聴するときはくれぐれもご注意を。本作は二作目ですが、一作目を観ていなくても、充分いけます。