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舞台はイタリア
主人公(ヴァレリオ・マスタンドレア)は、ローマ市の福祉課職員。どこにでもいそうな、平凡で幸せな家庭の父だ。穏やかで子供思いで、誰に対しても優しい。
彼の生活は折り目正しい。日々の生活は静かに着実に過ぎていく。子供たちは多少問題を抱えているが、あくまで多少だ。
そんな家庭に問題が起きる。
浮気だ
不倫が奥さんにばれたのだ。
それにより、妻との関係はぎくしゃくしたものとなり、別居に至る。理由を知らない子供たち(姉弟)は混乱する。
お父さん、別居しても子育てには参加する。子供たちを愛している。お金はないが、愛はある。ブロンド女と浮気しても、家族を愛することはできる。
当面の問題と言えば、金銭面だ。
別居したことで、出費が増えた。
お父さんは副業を考えるが、役人にできることは少ない。役所の業務と時間的に折り合いがつく、夜間の肉体労働をする。
お父さん、愚痴もこぼさないで黙々と働くが、クビになる。仕方なく、更に低賃金のアルバイトをするが、出費を賄うことができなくなる。宿代さえ払えなくなり、車上生活者になる。もはや心に余裕はない。子供に会おうともしなくなる。
ここまでくると、ちょっと悲しい。お父さんのちっさい器と不器用さが、とても哀れだ。
イタリアの夫婦も、思ったより奔放ではなさそうだ。夫婦(男女)関係の根幹は、どの国もあまり変わらないのかもしれない。だから共感することができるわけだが…
教訓:ブロンド女にご用心
ちなみに、娘役のロザベル・ラウレンティ・セラーズは『ゲーム・オブ・スローンズ』でタイエニー・サンドを演じていた。本作品は彼女の存在が光る良作だ。