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ある夜、女(竹内結子)が殺害される。犯人として捕まったのは、夫の矢部五郎(KAN)。アリバイはなく、起訴されるが、五郎の主張は違う。まとめると
「旅館で寝ていたら、落武者の霊が覆いかぶさっていたため、つまり金縛りで身動きがとれなかったため、妻が死んだとされるときに、そこへ行くことはできなかった」
もちろん、そんなアリバイ、誰も信用しないし、弁護を引き受ける者はいない。まともな弁護士先生が手を出す案件ではない。そこで、ダメダメ弁護士の宝生エミ(深津絵里)にお鉢が回ってくる。
エミは証人として落武者(西田敏行)を出廷させようとする。落武者・更科六兵衛は、豊臣との内通という冤罪を着せられて処刑された、北条家の侍大将だった。実際に犯行に及んでいない五郎に共感した落武者は、法廷に立つことを承諾する。
とはいえ、落武者は幽霊だ。見える人もいれば、見えない人もいる。この、見える見えないが、コミカルなドラマを生む。
本作品は真実を立証するために、幽霊の存在の証明から始まるという、奇想天外な法廷コメディだ。人情、どんでん返し、豪華な出演陣と見所はたくさんあるが、個人的には、死者との交流があっけらかんと描かれている点が特に楽しかった。
絶妙なバランスである。
ところで、更科六兵衛が成仏する日はやってくるのだろうか…