登場人物
マリアッチ
流しの歌手
(カルロス・ガラルドー)
※“マリアッチ”とはメキシコ特有の楽団のことであるが、劇中では、主人公の呼び名として、また、歌手やミュージシャンの意味としても使われる。
ドミノ
バーの美人オーナー
(コンスエロ・ゴメス)
アスール
脱獄囚
(レイノル・マーティネス)
モーリシオ
ギャングのボス
(ピーター・マルカルド)
改めて観て、これが92年かとびっくりするほど、舞台となったメキシコの町アクーナはど田舎だ。刑務所は、でっかい公衆便所みたいで、セキュリティなど、ないに等しい。
囚人アスールはモーリシオと分け前のことでもめていた。ずいぶん前からもめていたみたいだが、モーリシオはやっとケリをつける気になったようだ。金をやる代わりに、手下数名をでっかい公衆便所に差し向ける。
だがアスールは先を読んでいた。手下どもを返り討ちにして、堂々と“脱獄”する。ギターケースにマシンガンを入れて。アスールの行き先・アクーナの町には、タイミング悪く、マリアッチがいた。
マリアッチは、アコギの入ったギターケースを手に店をまわり、歌わせてくれと頼むものの、断られる。金もないので、日雇いでもしようかと思案する。
モーリシオはアスールにしてやられたことを知ると、手下どもをアクーナに向かわせる。但し、手下どもはアスールの顔を知らない。黒い服とギターケース。ターゲットの特徴はそんだけ(笑)写真ぐらいはあんだろうという突っ込みはやめておこう。どうせ、みんな、すぐに見つけられると思ったのだ。
まさか、(人相体型の違う)マリアッチとアスールを間違えるとは、モーリシオも思わない。思い込みはだから、こわい。
マリアッチは人違いにより、否応なく、アスールとモーリシオの闘争に巻き込まれる。とはいえ、マリアッチは銃の名手(?)なので、手下をバンバン倒していく。バーのオーナー・ドミノの助けで、“マリアッチ”としての仕事をすることもできた。が、このまま無事に終わるわけもなく…
ストーリーは粗削りながらも真っ直ぐで、コミカルながらもパンチが効いていて、哀しみと清々しさに浸ることができる。
ヴァイオレンス?
コメディ?
いや、青春でしょう!
鑑賞後にふと、スタッフ・キャストの人達にとってこの映画は、きっと、いい思い出になってるんだろうなと。そんなふうに思わせる作品だった。