登場人物
カリート・ブリガンテ
元(大物の)売人
夢は南の島でレンタカー屋を営むこと
(アル・パチーノ)
デイブ・クラインフェルド
悪徳弁護士
(ショーン・ペン)
ゲイル
ダンサー
(ペネロープ・アン・ミラー)
ベニー・ブランコ
ブロンクスのチンピラ
(ジョン・レグイザモ)
パチャンガ
昔の仲間・用心棒として雇う
(ルイス・ガスマン)
『カリートの道』
「人はみな追い込まれるのね」
ゲイルがカリートと一夜を過ごしたときに、口にしたセリフ。
それが本作品のテーマである。
夢破れたダンサー・ゲイルが、本作品では数少ない、まともな人間のうちの一人だ。
カリートはデイブのお陰で出所した。仕事の世話までしてもらった。
彼は金を貯め、バハマでレンタカー屋を経営することを、本気で夢見ている。
893な世界から足を洗ったと公言し、人をあやめることもしない。許せないことが起きても、昔のように消したりはしない。昔の仲間に裏切られても、説教するだけだ。
カリートは仁義を重んじる漢であり、愛に生きる男でもある。何しろ、情に厚い。
デイブから、ある危険な仕事の手伝いを頼まれたときも、カリートは断らない。愛するゲイルの反対を押しきって、“仕事”に向かう。
もちろんそれは大きな、取り返しがつかない失敗だった。デイブが暴走したせいでもある。彼はジャンキーの例に洩れず、言動を制御できない。自分に都合のいいようにしか、物事を考えない。
カリートは“仕事”のあと、デイブを見限る。結局、ゲイルが正しかったことを思い知るが、カリートはカリートとして生きることしかできない。ゲイルを尊重し、正しさを認めつつも、我が道を往く。甘い話を持ちかけられても、決して乗らない。安易な道は選ばない。不器用と揶揄される生き方だが、そうすることしかできない。
終盤30分、絶望にのまれる予感と破滅に向かう緊張感が、たまらない。
ラストは好みの分かれるところだと思う。ぼく自身は、ジョン・レグイザモが好きだけど、この映画の最後にはどうかな~、と。ケリをつけるのはイタリア人でよかったのでは…と。
ショーン・ペン演じるデイブが段々壊れていくサマも、見所の一つ。
多くの人々が対立を通して、大切なものを失う映画だけれど、救いはある。