ある本によると、多くの産業・熟練者を要した数多の職種は、近いうちにAIに取って代わられるそうだ。
なるほど。
もちろん人智によって制御するわけだが、それは未経験のおっさんができるような仕事ではない。特殊なエンジニアの仕事になるそうだ。タクシーも、証券マンも、レジ係も、人である必要はなくなる。むしろAIのほうが、接客態度はいいかもしれない。情さえも、AIで再現できるという。
そういう話は珍しくないし、その部分だけ見るとSFみたいだが、最も懸念されるのは、富の蓄積である。
人の代わりにAIに任せることで、富は一部の企業に集中する。そのような企業は国家を凌ぐほどの力を持つようになる。貧しい者は小銭のために右往左往し、夢と妄想を抱えて苦しむ。
庶民が苦しむのは昔からのことなので、どうすることもできないのだが、自分としてはもっと遠い未来に興味がある。
生物には寿命があるけれど、AIにはない。長い間、時間など気にしないで、宇宙を探索することができる。人は宇宙に進出するには、あまりにも弱い。AIはその点、問題がない。もっとも、AIが宇宙を調べたいと思うかは不明だが。
AIが意志を持つ、というのはなかなか難しいようだ。
ただ、宇宙を構成するほとんどの要素は心など持たない物質である。未来の支配者に心など必要ないのかもしれない。