淀み
脳天気そうな若者を演じさせたらアメリカン・ティーンの右に出る者はいない。無類の輝きを誇る古き良き米国産青春映画が、おれの脳裏に焼きついているからだろう。
本作品の主人公はご機嫌な青年マーク。どこにでもいそうな青年だが、他のティーンエージャー…いや、他の人間とは違う。ある1日を繰り返し繰り返し生きているのだ。彼はその1日から進むこともできなければ、戻ることもできない。夜になると、自動的に朝まで巻き戻される。なぜそうなったのかは、不明だ。
マークはその1日を知り尽くしている。人々の言動、車の往来、自然現象など、その1日に関しては予知することができる。彼は人々の行動をパターン化して何らかの解答を導き出そうとしていたが、さしたる成果は得られなかった。
そんなある日、マークは自分と同じように、リピートの呪いにかかったマーガレットと巡り会う。
人はどうしても世界をパターン化して捉えがちだけど、パターン化とは要するに単純化なわけで、結局それはファクトから遠ざかることを意味する。
本作品の鍵は論理的でも理屈的でも学術的でも数理的でもないが、逆にそれで良かったと思わせる幕引きになっている。