またまたゾンビ
“ゾンビ”は再生産されてきた物語である。映画やTVドラマはもちろん、小説でもあるし、ゲームでもあるし、漫画でもある。
ゾンビという装置を駆使して、残酷さや人間ドラマ、ゾンビより歪な人間心理などが描かれる。
良作が多いので、よほどの作品でないと、高評価は得られまい。ゾンビ、というだけでどんな作品か大体想像できる。その想像を裏切ることがゾンビものに課せられた使命となる。
ゾンビものには一応、ルールがある。
①人を襲う
ゾンビは生きているわけではないのに、人を襲い、食らう。なぜ人を襲うのか不明だが、そういう存在なのだ。腹が減るわけでもないだろうし、おとなしく徘徊していればいいものを。
②ゾンビ化
ゾンビに噛まれた人間は、ゾンビ化する。ゾンビはもしかしたら、仲間を増やすために人々に襲いかかるのかもしれない。だが、理性はなさそうだし、建設的な活動は何一つできなさそうだから、仲間を増やしたところで何の意味もない。語らうことも愛を囁くこともできないだろうし、おとなしく徘徊していればいいものを。
③弱点
ゾンビには生命反応がない。でも動く。歩く。止めるには頭を破壊するしかない。アメリカは銃社会だからか、一般人がいきなりライフルを手に取り、ゾンビの頭を撃ってやっつけたりする。おそらく、ゾンビがおとなしく徘徊する健気な存在だったとしても、人々はゾンビの頭を撃ち抜くだろう。嬉々として。娯楽として。2度逝くぐらいなら、おとなしく眠っていればいいものを。
本作品の舞台はショッピング・モール。リメイクだから当たり前だが、先行作品を想起させる設定だ。パニックに陥った市民どもが、田舎のモールに立てこもる! ホラーであり、パニックでもあり、サバイバルでもあり、人間ドラマでもある。
本作品のゾンビは動きが早い。走るし、パンチもする。ゾンビ化もすこぶる早い。人類は簡単に制圧されるに違いない。やはり最終的に細菌にやられちまうのかな、地球人どもは…