上空でクロール

介護福祉士による雑記ブログ。主に、映画・本・時事。目標は1000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『永遠の0』


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はじめに

司法浪人の青年と、フリーライターの姉が、零戦パイロットだった祖父の軌跡を追う。

 

祖父は太平洋戦争で数多の戦地を飛び回った挙げ句、終戦間際に特攻を命じられて散った。

 

姉弟(視点は弟)は祖父の戦友を訪ね、祖父の人柄、言動、行動を聞く。

 

祖父は戦友達から好かれるタイプの人間ではなかった。いわゆる兵隊らしさ、(見せかけの)勇敢さには欠けていたものの、飛行機乗りとしては優秀だった。優秀だったが故に、終戦間際まで生き残ることができたのだった。

 

 

感想

自分の祖父二名も出征したが、生きて再び本土の土を踏みしめることができた。二人ともちょうど戦時中が青春時代だったこともあり、思い出として当時のことをよく語っていた。

 

二人は特攻隊員でもないし、原爆の被害にも遭っていない。アメリカよりもソ連を憎んでいた。一方の祖父は中国への留学経験があったので、かなりの中国贔屓だった。もう一方の祖父は亡くなるまで中国のことを支那と呼んでいた。政治的なスタンスは違えど、二人とも戦争については楽しげに話した。家族を何人か失っているにもかかわらず。

 

要するに、太平洋戦争はぼくにとってまだ、生きた歴史であり、それを題材とした作品には概ね心を打たれる。

 

もちろん戦争を讃美するつもりはないけれど、時代のうねりの中で自分の意志ではどうすることもできなかった一人一人の人間について、批判や非難を下すことはあってはならないことだと思う。

 

本作品には印象的な場面が多々ある。

 

日本の飛行機乗りが潔く命を捨てる様はよく知られていることだが、アメリカのパイロットもまた、勝つために命を捧げることが多々あった。零戦との戦いは厄介だったのだ。

 

指揮官の勇気と能力は明らかに、アメリカのほうが上だった。日本軍の上層部には正直、不快感しか持てない。貴重な人材を捨てるように犠牲にした軍部の面々だけは、どうしても好きになれない。本書を読んで、より嫌いになった。

 

日本は当時、工業国とは言えなかった。貧しい国だった。奇跡と努力で零戦のような名機を生み出したものの、アメリカとは力の差があり過ぎた。やがてアメリカは、零戦を凌駕する戦闘機と、戦争が終結するまで一度も撃沈されることのなかった強靭な空母を、大量に投入した。

 

日本軍のエリート連中は頭脳明晰で、下士官や兵の練度は凄まじかったものの、結果は惨敗。大本営の見通しの甘さと、自決を前提とする醜悪な精神論には、辟易する。

 

特攻、人間爆弾

 

させられた人たちのことを思うと、何とも言えない。クソどもが起こしたクソな戦争のせいで、優秀な学生たちが亡くなった。

 

安全なところで威張り散らしていた、偉いクソどもは生き残るというクソな現実。クソどもを墓場から引きずり出して鞭で打っても、う○こが飛び散るだけである。

 

・・・

 

窓外の夏の空には、毟り取って雑に置いたような雲が浮かんでいる。この平和がいつまでも続くことを心から願わずにいられない。

 

 

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