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竹中幸史『図説 フランス革命史』河出書房新社


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感想

フランス革命は壮絶である。人間の最良の部分と邪悪さがぶちまけられているようで、見てはいけないものでも見るような感覚に陥る。革命には多くの血が必要なのだろう。


本書は図説とあるが、本文でもしっかり解説してくれているので、フランス革命に興味があるという方には、うってつけの本である。


当時、各地に政治結社が作られ、フリーメーソンもあった(さすがに陰謀はなかったはずだ)。


居酒屋では市民が酒を酌み交わし、カフェでは議論を戦わせ、サロンにはアカデミックな学者や文人が集まった。つまり、そういった知識層が世論が形成していたということだ。


ルイ十六世は無能ではなかったようだが、運はなかった。とことんついていない人だった。


とはいえ、威厳はもちろんあった。貴族も、畏怖されていた。革命当初の民衆は自由ではなく、恐怖に駆られて、つまり領主の恐ろしい弾圧の先手を打つために、行動を起こしたと言われるほどだ。恐怖は時として、攻撃的になる。ネズミも、追い詰められたら、猫を断頭台に送るのである。ロベスピエール一派を逮捕させ、翌日に処刑させたテルミドール派は、不正を告発されまいかと慄いていた者どもだ。



また、時の経過・世論の変化によって、マラーとコルデへの評価が変わり、それが絵画に反映されている点も、ひじょうに興味深い。


おわりに

本書は151ページなので、手軽に読める。残酷な側面を強調するような書かれ方ではないので、その手のものが苦手でも不快にはならないだろう。研究者の知見を端々で汲み取ることができるので、この時期を正しく捉える上でも役に立つはずだ。