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雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『エリザベス』


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Elizabeth

監督 シェーカル・カプール
主演 ケイト・ブランシェット
出演 ジェフリー・ラッシュジョセフ・ファインズ

1998年


エリザベス1世がロマンスと権力基盤の強化のために足掻く物語。


ロマンス

エリザベスはロバート・ダドリーと恋愛関係にあった。映画では、自然豊かな地で、若い2人は愛を育んでいたものの、ある日、エリザベスは異母姉のイングランド女王メアリー1世に幽閉される。大逆の疑いありとのことだが、証拠はない。メアリー1世はブラッディ・メアリーと言われるほど、プロテスタントに対して過酷な弾圧を加えたけれど、死を前にして、エリザベスを後継者とした。


エリザベス1世となった女王はロバート・ダドリーとの逢瀬を重ねつつ、他国の王族とのお見合いもこなす。婚姻関係によってイングランドを安定させる、という重臣の進言に従ってのことだが、女王にその気はない。ロバート・ダドリー一途なのだ。彼が密かに結婚していたことを知るまでは…


エリザベス1世に遠ざけられたロバート・ダドリーにスペインは目をつけ、策を与える。ロバート・ダドリーは愛のために、愛深き故に、陰謀に巻き込まれていく。


史実

実際には、ロバート・ダドリーが婚姻していたことを、エリザベス1世は知っていた。彼は女性問題で度々女王を怒らせているものの、終生、絶縁状態になることはなかった。政治的には、女王の腹心ウォルシンガムに近かったが、信念によって動くタイプではなかった。女王を愛していて、邪魔する者とは対立を深めた。


宗教問題

エリザベスが女王となっても、安定した統治は見込めなかった。宗教問題が深刻だったからだ。当時、カトリックプロテスタントが対立していて、エリザベス1世プロテスタントだった。それはカトリック側から見れば異端であり、裏切りである。同じキリスト教なのに…と思えるが、同じ根を持つからこそ、憎しみも激しくなる。エリザベスが着手したことは、イギリス国教会を創設して儀礼などを整えることであった。


結局のところ、カトリック勢力を抑えることは前女王時代の有力者を葬ることであり、初期の権力基盤の安定につながった。



おわりに

本作品と続編の『ゴールデン・エイジ』はケイト・ブランシェットの演技が冴えていて、観ていて飽きることはない。映画だから史実と異なる部分は当然あるけれど、大河ドラマを例に出すまでもなく、それは普通のことである。むしろ、歴史との違いを楽しむことができるわけで、歴史映画・伝記映画を観るときの醍醐味と言える。



※続編の感想
kaigodays.hatenablog.com