上空でクロール

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佐藤賢一『フランス革命の肖像』集英社新書


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肖像画

フランスには画家がたくさんいる。しかも、世界の最先端である。見ていて、飽きることはない。彼らは写真がない時代、激動の時代に、事件を描き、民衆を描き、偉人を描いた。


肖像画は美化されていることが多いけれど、その人の持つ雰囲気などは細かい表情に表現されていて、実に多くのことを語っている。


超男前に描かれたナポレオンはあまり好きではないが、輝きの強さも加味していると思えば、納得できないこともない。


本書の特徴

作家の佐藤賢一さんが、優しい語り口で、フランス革命期の登場人物の解説をしている。しかも、肖像画つきで。こんなにわかりやすい革命史はないし、すごく面白いし、小難しくて何を言っているのかわからない本も貴重だけれどそれを読む前にこれを是非おすすめしたいところである。


優しい語り口、と書いたが、革命家への顔判定は若干、厳しい。けっこうな数の人が醜男と書かれている。しかし個人的には、そんなにひどいかなと思う人もいた。



おわりに

肖像画の下に生没年が書いてある。没年が革命期だと、ギロチンかと。『死刑執行人サンソンー国王ルイ十六世の首を刎ねた男』に書かれていたが、ギロチンで、以前(執行人が剣で斬首したり、ロープで絞首したりしていたとき)より簡単に処刑できるようになったことには、やはり大きな問題があったように思う。ロベスピエールは当初死刑反対派だったはずだが、結局、恐怖政治の立役者になってしまった。歴史が動き出すと、個人の力ではどうにもならない、抗うことはできない。