上空でクロール

雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『ウエストワールド』1973年


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Westworld

監督・脚本はマイケル・クライトン。『ジュラシック・パーク』の原作者で、本作品が初監督映画となる。HBO製作の同タイトルのドラマは本作をベースにしている。

デロス

作品の舞台はテーマパーク・デロスだ。デロスは、西部開拓時代・古代ローマ・中世ヨーロッパ、の3つのエリアに分かれている。客はエリアを選択し、世界観に合った衣装を着込む。たとえば、西部開拓時代だったら、ガンマンの格好をして拳銃を持つ、ということだ。料金は1日1000ドル。それだけ払えば、その時代を体験できる。エリアには人間と見分けのつかないロボットが配置されている。客はロボットを殴ろうが襲おうが、もっとひどいことをしようが、咎められない。相手はロボットだから。撃つもよし、娶るもよしと、思い思いの経験をして愉しむことができる。ドラマ版を観たときも思ったのだが、人間は好きなことをしてもいいとなると、大抵、残酷になる。

故障

ピーターとジョン。二人は友人で、メチャクチャやるためにデロスにやってきた。西部開拓時代のエリア「ウエストワールド」を選び、西部劇の世界を堪能する。ロボットを撃ちまくり、ボコボコにし、バーボンを浴びるように飲み、娼婦を抱く。おそらく、それがスタンダードな遊び方なんだろう。が、重大なアクシデントが起きる。ロボットが故障し、暴走したのだ。“ジュラシック・パーク”の恐竜のごとく。

人型ロボットはターミネーターと化し、客どもを次々に襲う。管理施設のスタッフは事故のせいで全滅、パークの安全は完全に失われ、本物の命のやり取りが行われる。

果たして、ピーターとジョンの運命は?

未来

倫理的にデロスみたいなテーマパークが建てられることはないだろうが、仮想空間・VRで、似たようなサービスが生まれる可能性はじゅうぶんある。人々の欲求があるなら、それが実現可能であるなら、たとえ歪んだものであれ、商品化される日はそう遠くないだろう。そして大衆がそんな“甘い世界”にどっぷり浸かるようになったら、AIが安全のためとか適当なことを言って、人類を管理するようになる。“マトリックス”が現実化したとき、もはやヒトは息しかしていない。


おわりに

HBOのドラマ版はグロくて、特にファースト・シーズンは寒気がするほど面白かったけれど、本作品には時代を感じさせる不気味さ、古典ホラー映画を観て感じるような気色悪さがある。もし実際にロボット・ガンマン(ユル・ブリンナー)に追ってこられたら、なす術もなく、逃げ惑うことぐらいしかできないだろう。