■序
『ボヘミアンラプソディ』の上映期間中、知人らに映画館で観たほうがいいよと言われていたにもかかわらず、どうにも気が向かなかった、というか、足が向かなかった。
評価されているのはわかっていたものの、足を運ぶ気になれなかったのは、そもそもフレディ・マーキュリーのストーリーを何かで読んでいたし、クイーンも人並みに聴いているし、“今さら”感が個人的にはあったからだ。
今回視聴したのは、アマゾン・プライムでフリーになったからで、観たら観たで、やっぱり映画館で観るべきだったと反省することになった。
自宅は音響面が貧弱なので。
それでも、クイーンの偉大さを再確認できたことに間違いはない。
今さらだが、“ママ~ウ~ウウ・ウ~”の破壊力はすごいな、と。
■COMMENTS
本作品は伝記映画である。但し、それが正しいかはわからない。所詮、“真実”は後世の人が決めることだ。日記でさえ、古文書でさえ、書かれたものには虚偽が混じる。記録や資料とはそういうものだ。だからといって、真っ赤なウソというわけではない。
フレディ・マーキュリーの場合、人間関係・恋愛関係が込み入っていて、相手のあることだし、より“真実”がわかりにくくなっている。なので、今回はあえて“真実”を度外視して、本作品の内容に従う。
エルトン・ジョンもそうだけど、フレディも成功するまで音楽的な挫折は味わっていない。彼らの前にはまるで誰かが用意したかのように、輝かしい道が延びている。途中には才能豊かな人々との出会いがあり、成功が待ち受けている。
実際にはフレディにも色々あったのだろが、後世の人間からしたら、偉大な才能を際立たせる淡い影にしか見えない。苦節ン年なんて言葉がバカらしく思えるほど、フレディ及びクイーンは易々とレコード会社と契約を結ぶ。で、BBCに出演。アルバムがチャート入りして、「キラー・クイーン」があたって、アメリカ・ツアー。ツアーは大成功。とても楽しそうだ。
音楽に対しては真摯で貪欲で、自己模倣を嫌う。売れ線ではなく、より高度で、実現したいことに挑む。それによって生まれたのが「ボヘミアン・ラプソディ」だ。それはクイーンにしか作れない曲だが、クイーンの楽曲の中でも異質だった。作中の、レコーディングから世に出るまでのゴタゴタは実に見応えがある。
A Night At The Opera (2011 Remaster)
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揺るぎない成功を手にしたクイーンだったが、バンド内からは不協和音が聞こえるようになり、フレディのプライベートも暴走気味になってくる。根底にメンバー同士のリスペクトがなかったら、完全に空中分解していたに違いない。
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- 発売日: 2011/06/24
- メディア: CD
フレディが心を入れ替えてからの流れは圧巻だった。