■COMMENTS■
人間ドラマである。
メインの登場人物は、ニューハーフのショーパブでダンサーをしているルディ、ゲイの検事ポール(アメリカだと検事補か)、ダウン症の男の子マルコ。
時は70年代末
スマホもなければ、ラップトップもない。ゲイに対する差別は今よりひどかった。
この手の作品は、登場人物の背景、所作、細部が命だ。笑いに逃げたら台無しだけれど、ユーモアがないとかなり厳しい。俳優陣にはかなりの演技力が要求される。
ルディはその日暮らしの生活を送っているものの、性根はまっすぐで怒りっぽい。何の迷いもなく、行き場を失ったマルコの面倒を見る。とても優しい。弱者の側に立って考える。ポールの提案で、彼らは法的にマルコを引き取ることができた。但し、彼らがゲイということは伏せてある。
マルコは太った男の子で、好物はドーナツだ。いい意味で言うのだが、とてもチョコレート・ドーナツが似合う。
ルディとポールはいい人達で、当然のこととして、マルコに教育の機会を与える。決して無理強いはしない。一緒に食べ、一緒に遊ぶ。疑似家族も、愛があれば、そこらの幸せな家族と何ら変わりはない。
ただ、時は70年代。ゲイへの蔑視はきつかった。偏見と差別が彼らの“家庭”を崩壊させる。
ここからは悲しい物語となるが、出来がいいだけに目を背けることはできない。この作品には打たれるものがある。
観てよかった。