■COMMENTS■
大抵、あらすじにパッと目を通して、何かしら興味を惹かれるものがあったら視聴する。一時間、あらすじだけ読んで、結局、本編を観ないこともある。
もちろん、あらすじが好みのものでも、外れはある。だが、反対はまず、ない。あらすじが気に入らない作品は、観ても没入できない。
韓国映画には面白い設定の作品が多い。どうなるんだろうと思わせてくれるものが実に豊富だ。勢い、とはこういうものか。
『悪のクロニクル』は終始シリアスで、計算高い映画だ。主人公は捜査一課のチェ課長。冒頭、彼は大統領から表彰される。順風満帆、前途洋々というところだろう。
そんなチェが、ある日、事件に遭遇する。タクシー運転手に襲われるのだ。運転手にはそれなりの動機があり、殺意もあった。チェは図らずも、運転手の振り回す刃物で相手を刺殺する。
正当防衛である。
正当な手続きを踏めば、だ。警察に電話して真っ当な手続きを経れば、なんとかなるだろう。だが、昇進に響くと思ったチェは、事件を隠蔽する。隠せば、それは事件でさえない。永久に表に出なければ。そのかわり、日の光に当てられ、真相を突き止められたら、即、終わりである。
映画において、秘密は暴露されるものだ。秘密を巡って、ドラマが展開する。チェは甘かった。何者かが、運転手の遺体をクレーンで吊るし、衆人にさらしたのだ。つまり、チェのしたことは知られている、何者かに弱味を握られたということだ。
運転手の遺体が出た時点で、チェが隠そうとした件は刑事事件となった。皮肉にも、チェはその事件の責任者となる。
現場に残された物証
防犯カメラの映像
不用意な発砲
チェは徐々に追い詰められていく。もはやどうすることもできない。どうしようもないうねりの中で、右往左往した先には…