上空でクロール

雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド』


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邦題『彼らは生きていた』


■COMMENTS■


第一次世界対戦のドキュメンタリー映画

冒頭から当時の映像が延々と流される。ナレーションはない。音楽もない。兵士たちの体験談・証言(BBC等の音源)が切れ目なく投下される。イギリス側の視点である。


何の疑いもなく、当然のこととして入隊した兵士たちの“声”は勇敢である。恐れはなく、祖国の敵は自分の敵と言う。“声”は国のために戦った満足感と生き延びた喜びに満ちている。イギリス兵はドイツをやっつけることに燃えていた。


もちろん、訓練や規律の厳しさなどを嘆く意見もあるけれど、全体のトーンはマッチョ史観である。


日常に戦争が溶け込んできて、巻き込まれた若者が大志を抱いて戦地に赴く。塹壕を見ると、キューブリックの『突撃』を思い出す。そういう戦争だったのだ。


圧巻なのは、当時の映像に着色している点である。途中から、カラーとして観ることができるのだ。よく見ると不自然さもあるが、そういうもんだと思えば、じゅうぶん鑑賞に耐え得る。


戦場映像には当然、えぐいものもある。便をして手で拭き、その手を洗わないというエピソードは気色悪かった。でもその場にいたら、自分もたぶんそうしただろう。戦地の同調圧力に抗えるわけがない。


終盤になると、兵士の“声”から雄々しさが抜けていることに気づく。戦争の無意味さ・残虐さについての言及が多くなる。そういうふうに構成されているわけだが、いずれにせよ、戦勝国の兵士でさえ、本心では戦争にうんざりしていたことを知る。彼らは祖国のために戦ったにもかかわらず、帰還すると、戦場を知らない国民どもから冷たく扱われることになる。



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イギリス側から語られる第一次世界大戦ではあるが、悲惨さはじゅうぶん伝わってくる。戦争を起こしてはいけない。人類がもしも進化しているのならば、争いのない世界を実現することだって可能なはずだ。歴史から学べることはまだある。