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雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『ブレイク・ビーターズ』


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ブレイク・ビーターズ(字幕版)
 

 

 

感想

ダンス映画と言われて、何を思い浮かべるか。ケヴィン・ベーコンのやつ? トラボルタ? 役所広司? ぼくはダンスと言うと、映画より、TV番組のほうを強烈に記憶している。それは、元気が出るテレビダンス甲子園だ。最近、都知事選にも出た山本太郎さんも出場していて、当時はかなり騒がれていた。“LL BROTHERS”だっけ? ブレイクダンスがうまかったのは。思えば、あれから30年近く、経つ。

 

本作品の舞台は1985年の東ドイツだ。社会主義国家で、自由はなかったが、アメリカのダンス映画が公開された。青年フランク・ザッケはそれに感化され、ブレイクダンスに打ち込む。異色のダンス映画だ。社会主義ブレイクダンスブレイクダンスが管理社会における一陣の自由の風といった位置づけになっている。

 

ちなみに、フランクの観たダンス映画は『ビート・ストリート』

 

彼は友人とともに見よう見まねでダンスの練習をする。練習場所は路上なので、けっこう目立つ。社会主義国家で目立つのは、いいことではない。密告が奨励されている社会である。ちょっとしたことでも問題になる。彼らは案の定、問題視される。我が国の会社に近いものがある。

 

但し、基本的にはコメディだ。シュタージ(秘密警察)による拷問など、旧東ドイツの闇はほぼ出てこない。組織がブレイクダンスさえ管理しようとする。その展開には、びっくりした。徹底した抑圧ではなく、管理して利用する。

 

 

 

・フランクのダンスに対する熱意は伝わってきた。

 

・背景となる旧東ドイツ社会の描き方が軽くて逆によかった。観ていて、負担にならなかった。気分的に、むごたらしいシーンは見たくなかった。

 

・ダンスもファッションも、野暮ったくてシュールで笑いを誘う。


・生まれる国を選ぶことはできないが、フランクは“自由”を謳歌した。

 

 

・フランクと父との対立が緩い。今一つ緊張感がない。

 

・どうしてもよくある青春映画に見えてしまう。

 

・B級感は否めない。チープさはいい味を出しているけれど、他に目を見張るものはない。

 

・ダンスを見て、“おー!”とはならなかった。たとえば、ピアニストの映画を観て、そのピアニストのテクニックに魅せられなかったら、いい映画という評価はつけないだろう。つまり、見とれるようなダンスを期待していたのだが…

 

 

寸評

つまらなくはない。全編に漂う寂寥感は独特なものだ。自由は素晴らしいと思わせる、そんな作品ではあった。