2013年 アメリカ
アクション映画らしいアクション映画である。いい意味で言うのだが、コテコテのアクション映画だ。
ある日、突如として冷血なテロリストが現れ、世界を震撼とさせる。世界とは無論、アメリカのこと。テロリストは充分に計画を練って実行に移し、その上、狡猾なので、人々は手も足も出ない。そんな絶望的な状況の中で颯爽とヒーローが登場する。彼には辛い過去がある。他人の気持ちがわかる男前だ。かつて特殊部隊にいたことがあり、とてつもなく強い。ヒーローはテロリストの野望を打ち砕くべく、銃を握りしめ、孤独な闘いに身を投じる。
流れとしてはそんな感じだけれど、面白みがあったのはテロリストが東洋人だったことだ。訪米した韓国の首相に随行してきたスタッフが、実は北側のテロリストだったのだ。彼らは正体を隠したまま難なくホワイトハウスに入り込み、アメリカ大統領を人質にして(韓国の要人を撃ち殺して)占拠する。
立てこもり事件はうまくいかない確率が極めて高い。通常、突入する側のほうが人的・物的資源を豊富に持っているし、圧倒的に有利だ。究極的なことを言うと、人質を救うことは難しいが、立てこもった奴らをやっつけることはそんなに難しくない。それに反して、立てこもったほうは、最終的に逃げなければならない。その段階にくると、大抵、精神的に追い詰められている場合が多い。アル・パチーノが銀行強盗を演じた作品があったけれど、残念なことに逃げきることはできなかった。立てこもりは難易度がすこぶる高いのだ。なので、本作品で、テロリストがホワイトハウスに立てこもったとき、こいつらうまくいかんだろーなーと、つい思ってしまったが、それでもけっこう楽しむことができた。
本作品のテロリストは頑張って善人の屍を積み上げていったものの、彼らの思い通りになるほど、現実は甘くなかった。元シークレット・サービスで、かつて大統領の警護をしていたマイクの登場により、彼らの歯車は狂っていく。