2018年 日本
運送会社(中小企業)の社長が自社の潔白を証明するために、巨大企業の不正を暴こうと試みる。
実際の事件(某自動車メーカーのリコール隠し)を下敷きにしつつも、池井戸作品らしさは損なわれていない。“らしさ”とは、最終的に正義が勝つストーリーであり、それによって得られるカタルシスだ。
原作は読んでいるが、ずいぶん前のことなので、何となくしか覚えていなかった。逆にそれが今回はプラスに働いた。比較をしなくて済んだし、変な先入観を持たないで視聴できた。
本作品か、WOWOWで制作されたドラマ版(5話)か、どちらを視聴するかで大いに悩んだが、気分的にさくっと観たかったので、今回は映画版を選択した。
(映画の内容とは直接関係のないことだが、日本映画ってどうしてこうもセリフの音量が小さいのだろう。その点がいつも不満である。ヴォリュームを上げると、ほかの音がうるさくてかなわない。仕方ない、ヘッドホンを装着して観よう)
そもそもの始まりは、重大な事故である。
走行中のトラックから外れたタイヤが歩行者に直撃して亡くなったのだ。タイヤが外れた責任を巡って、映画は進行していく。
真っ先に運送会社の整備不良が疑われるけれど、社長の赤松(長瀬智也)は納得することができない。
トラックの整備はしっかりされていたし、会社の存続・社員の生活のためにも、疑いを晴らす必要がある。
赤松社長はトラックのハブに欠陥があったと睨むものの、メーカー(旧財閥系の大企業)は当然落ち度を認めない。社長は独自調査に乗り出す。
赤松社長の長く、苦しい闘いが始まる。
社長はまっすぐで熱く、いい人なので、つい肩入れして観てしまう(笑)
原作が池井戸作品だけあって、銀行の内幕については、相変わらず詳しく語られる。思わず熱くなる場面もあるし、粗野なセリフの言い回しも面白い。もうちょっと突っ込んでもらいたいところもあったけれど、原作は上下巻だし、贅沢は言えまい。
何はともあれ、最後まで、赤松社長がよかった。