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雑記ブログ。目標は100000記事。書きたいときに書き、休みたいときは休む。線路は続くよ、どこまでも。

『ある殺し屋 KILLER FRANK』


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主人公フランク(ウィリアム・フォーサイス)は見るからにすさんだ、いかついおっさんだ。鍛え上げられた体ではないし、年齢のわりに大物感もない。その日暮らしの強盗である。

 

彼はボスのトニーに雇われて“仕事”をしている。

 

完全出来高制だろうか。“仕事”を終えるたびに報酬をもらう。強盗だから難易度は高いが、フランクはやり手なのでミスはしない。にもかかわらず、トニーに顎で使われている。幸福ではない。哀しい存在なのだ。

 

 

そんなフランクがある偶然から、文章講座を受講することになる。文章の書き方を学ぶというより、ショート・ショートの創作教室だ。フランクはタイプライターで私小説を執筆する。それは自らの悪事の告白である。オスカーと名乗って、受講生らの前でその告白を発表する。ある受講生からリアリティがないと批判されるも(リアリティとリアルは別物)、めげないでタイプを打つ。

 

 

やがて、フランクは受講生のジャッキーと仲良くなる。彼女は太っていて、若くもないが、本作品のヒロインだ。二人の関係の推移は、よく見ると雑だけれど、二人とも薄幸だからか、さほど気にならない。嫉妬を覚えることなく、幸せになってほしいと心から思わずにいられない。

 

 

 

 

一言で言えば地味なB級ハードボイルドだが、終盤の無双っぷりにはしびれる。

 

2015年の作品とは思えない雰囲気、場末感、チープさが、逆に面白かった。