上空でクロール

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『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』2016年アメリカ / 監督 ジョン・リー・ハンコック / マイケル・キートン


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What's it about ?

52歳の男が成し得たアメリカン・ドリーム

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時は1950年代。ハンバーガー・ショップはまだドライブ・インが主流で、ローラースケートを履いたウエイトレスが客の車まで注文品を運んできた。そんな時代だった。


レイ・クロック(マイケル・キートン)はシェイク・ミキサーをハンバーガー店に営業して回っていたが、簡単に売れるものではなく、成功には程遠かった。年齢は50を過ぎていた。彼にあるのは、成功への執念だけだった。年齢的に考えて、そろそろ達観してもよさそうなものだが、そうはならない。好意的に言えば、レイは安易なゴールを設定していない。そんな彼に、奇跡的にチャンスが訪れる。不意に、何の前触れもなく、シェイク・ミキサー6台の注文が入ったのだ。


注文したのは、ディック&マック兄弟の経営するハンバーガー店だ。レイにとって、そんなことはあり得ないことなので、先方に電話して確認する。いくらなんでも、6台は間違いではないか、と。先方は、あっさり間違いを認める。6台ではなく、8台だ、と。電話の向こうからの物音や人声で、忙しそうな店内の様子が手に取るようにわかる。繁盛店なのだ。レイは兄弟の店・マクドナルドへ向かう。


マクドナルドでは、皿やフォークを使っていない。ハンバーガーは紙に包んであり、食べ終えたら捨てる。当時としては画期的なことだった。またドライブ・インではなく、窓口に客が並び、注文するシステムだ。ウエイトレスの姿はない。

それにしても、ハンバーガーがうまそうでうまそうで。実際、お客さんはうまそうに頬張っている。飯テロだ。バンズもパサパサしてないんだろうなー。レイも、マクドナルドのハンバーガーで大満足である。


マクドナルドの特徴はスピード。徹底した効率化で、完成までの所要時間は30秒。お客さんを待たせることはない。


このあとマクドナルド兄弟がハンバーガー店を開くまでの経緯が紹介される。実に興味深い話だ。詳細は省くが、外食産業に思い入れがない自分でも惹かれた。兄のマック・マクドナルド(ジョー・キャロル・リンチ)は言う。


“独創性があってこそ、最高の利益を生む”


偉大な事業は素晴らしい物語だ。レイも素晴らしさは承知していて、事業を拡大するよう説得する。兄弟はレイに根負けする形で、フランチャイズの推進を認める。


レイはマクドナルドを広めるために汗水流し、試行錯誤し、成功する。うまくいけばいくほど、店の理念を第一に考え、漸進的な展開を望む兄弟、特に弟ディック(ニック・オファーマン)との対立は激しくなる。




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レイは胸クソ悪い奴みたいな言われ方をするが、そうは思わない。マクドナルドはレイに出会っていなかったら、潰れたかもしれない。飲食店の経営は甘くない。簡単に乗っ取られる程度の経営力では、明るい未来はないし、時代を乗り越えていかれるような大企業にはなれなかっただろう。


ただ、感情的に言えば、マクドナルド兄弟はかわいそうだな、と(笑)地上げ屋に追い出された老舗の蕎麦屋みたいだな、と。魂のこもった蕎麦を客に出していただけなのに、なんでこんな目に遭わないといけないんだろう、と。


本作品は50を超えた男の苦いアメリカン・ドリームと言えるが、個人的には良作だと思った。こういう映画があっても、いいのでは?


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そういえば、今の時期(1/7まで)、チキンマックナゲットが15ピースで390円だった気がする。たまに無性に食いたくなるチキンマックナゲット。悪習かもしれない。