登場人物
イリーナ
ベルリンの娼婦
(アルバ・ロルヴァケル)
カッレ
ホームレスの青年
(ヴィンツェンツ・キーファー)
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上記2名による恋愛映画。好みは分かれると思う。劇的なロマンスを求めている人や、突き抜けた青空みたいな、清らかなラッピングで包まれた恋物語が好きな人にはおすすめできない。基本的に派手さはないが、イリーナの背景は刺激的だ。
イリーナは内戦で悲劇的な体験を経てベルリンにたどり着き、娼婦となった。“ゴム50口30”が彼女の相場だ。化粧映えする顔立ちだが、すっぴんは穏やかそうで、優しそうで、やつれている。
ある日、イリーナは、犬を連れたパンキッシュなホームレスの青年カッレと出逢う。劇中でラモーンズの曲が流れるけれど、カッレはパンクを熱く語るわけでもないし、それらしい格好が好きなだけかもしれない。
イリーナは成り行きで、カッレにシャワーを貸し、部屋に泊める。とはいえ、すぐに関係を持つことはない。徐々に、徐々に、仲よしになる。はっきり言って、仲よくなっていく過程は、ありふれている。トラウマを抱えた女の子と社会不適合者の純愛である。もちろん、それが悪いとは言わない。むしろ、ありふれた恋で構わない。2人の境遇が悲惨だから、ありきたりな幸福が際立つのだ。
そんな2人が出逢ったら大抵、不幸な物語が生まれるものだが、本作品はちょっと違う。辛酸をなめて、なめて、なめつくした2人は、1h20m辺りで起こる事件を契機として、絆を深め、“次”に進むことができる。
ぼくはドイツの刑法や刑事訴訟法を知らないので、事件を巡る検察の対応が妥当かは判断できない。ただ、原作者は刑事事件専門の弁護士だし、きっとドイツ法的には間違っていないのだろう。
ダメ男のカッレはさておき、イリーナが自分を取り戻せそうでよかった。ホッとした。