☆NY暗黒街における若きマフィアの台頭、ルチアーノ側の視点から。
感想
登場するのは実在のギャングたちで、“カステランマレーゼ戦争”というNYマフィアの抗争の後までを描いている。とはいえ、あくまでフィクションだ。
『ゴッドファーザー』のような重厚な作品ではなく、青春サクセス・ストーリーのようなタッチで、テンポよく物語は進む。
始まりは1910年代。
NYの暗黒街はドン・ファレンザーノとドン・マッセリアに支配されていた。
チャーリー・ルチアーノ(クリスチャン・スレーター)はシチリア移民で、とても貧しかった。這い上がるための選択肢はさほど多くなかっただろう。彼はスラム街で悪さを繰り返す。
映画では紹介されないが、アル・カポネとは少年時代からの知り合いだった。カポネは1920年前後にシカゴに向かう。そして『アンタッチャブル』のロバート・デ・ニーロみたいになるのだが、それはさておき…
ルチアーノは暗黒街で生涯の仲間を得る。仲間とはすなわち
マイヤー・ランスキー
ベンジャミン・“バグジー”・シーゲル
フランク・コステロ
後々大物ギャングになる彼らも若く、スコッチの密売・密造で稼いでいた。禁酒法が廃止されるまで、彼らは酒で富を得た。
ギャングの仕事は、“売る・盗る・撃つ”である。ルチアーノと仲間は仕事に励み、ファレンザーノとマッセリアの間で立ち回り、のしあがっていく。
ちなみにバグジーとは、ラスベガス発展の契機を作った人物である。たぶん先見の明があったのはランスキーであり、バグジー・シーゲルは建設費を流用して私腹を肥やし、多くの人の恨みを買った。
ルチアーノやランスキー、コステロは間違いなく切れ者だが、バグジーは武闘派であり、太く短く生きるタイプの、ギャングらしいギャングだった。
彼の生涯はウォーレン・ベイティ主演で映画化され、当時、かなり話題になった。アメリカでは人気があるギャングなのだろう。