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『幸せなひとりぼっち』2015年スウェーデン / 監督・脚本 ハンネス・ホルム / 主演 ロルフ・ラッスゴード


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素晴らしい人々にめぐり逢えた偏屈爺さん・オーヴェの物語。

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感想

理屈っぽく、曲がったことが嫌いなオーヴェ。59歳だから、老人と言うには少々早い気もするが、おじさんでは通らない風貌である。

彼は最愛の妻を亡くしていて、いつもイライラしている。些細な誤りや矛盾を見つけては、他人を非難する。仕事はしっかりやっていたのだろうが、ある日突然、43年間働いてきた会社をクビになる。当然、へこむ。

オーヴェは妻の元へ旅立つことに決める。ロープを使ったり、車の排気ガスを吸い込んだり、銃口を自らに向けたり。だが、その度に邪魔が入って、逝くことはできない。

代わりに、未遂すると、かけがえのない過去が頭の中に浮かんでくる。過ぎ去りし日々が走馬灯のように、という現象だ。
想い出は良いものばかりではなく、もちろん悲しいものもある。

無口な父との思い出。父に愛された少年期。狡猾な不動産会社。妻との出会い。妻との初デート。人生を変えたスペイン旅行。

オーヴェの回想はそのまま、普通の人の青春物語になっている。普遍的な事柄が魅力的に描写されている。

オーヴェは金持ちではないし、学歴もないが、一生懸命生きてきた。頑固だけれど、根はいい人なので、困った人を見捨てることはできない。邦題は『幸せなひとりぼっち』だが、なかなか、ひとりぼっちになれない。

ラストでやっと、彼はひとりになる。



オーヴェはある家族との出会いにより、救われた。出会いというのは本当に大切なものなんだと、改めて痛感しました。