☆ひょんなことから入れ替わった、鍵泥棒と殺し屋が織り成す、ちょっとハードボイルド(?)なコメディ映画。
感想
入れかわりと言えば、大林宣彦監督『同級生』とか、いや、古いか。ぼくも幼少のころにTVで観た記憶があるような、ないような…
最近の映画で言うと、『君の名は』だろうか。
どちらも超自然的な方法で入れかわるが、本作品の場合は違う。
貧乏役者が、記憶喪失になった人間になりかわる。
経緯は、こうだ。
ある殺し屋(香川照之)が、銭湯ですべって頭を打ち、気を失ってロッカーの鍵を落とす。
そこにたまたま居合わせた貧乏役者・桜井(堺雅人)が何を思ったか、その鍵と自分の鍵をすりかえる。
桜井は殺し屋のスーツを着込み、殺し屋の車を乗り回し、殺し屋の高級マンションで暮らす。
一方、殺し屋・山崎は記憶を失う。所持品から自分を桜井と思い込み、桜井のぼろアパートで生活を始める。そして、病院で知り合った、雑誌の編集長・水嶋香苗(広末涼子)と過ごすようになり、互いに惹かれ合う。
桜井は殺し屋として裏の世界と関わり、山崎は貧乏役者である現実を受け入れようと努める。
桜井のミスとベートーヴェンの弦楽四重奏曲が重なった瞬間、ワンダーランドは終わりを告げる。
山崎は記憶を失ったことにより、かけがえのないものを手に入れることができた。また、取り柄のない桜井の人生にも、新たな希望が用意されている。とても優しい映画である。