『キング・オブ・コメディ』1983年アメリカ / スコセッシ×デ・ニーロ / 下積みコメディアンの狂気
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感想
・必死に夢を追うコメディアン志望の30男ルパート・パプキン(デ・ニーロ)の物語。
・過去現在未来が、入れ替わり立ち替わり提示される。未来は空想か…と一瞬思ったが、空想を映像的に描写したシーンが全くない、つまり妄想は妄想とわかるように処理されているので、おそらく未来は実現した現実と言って、差し支えないだろう。
・80年代の街並みがいい。TOSHIBAの看板があったり。個人的には、当時の公衆電話が好きです。
・ストーカー女(パプキンの知人)が怖い。とくに、その唇が怖い。彼らはやすやすとラインを越え、狂気のコントが繰り広げられる。
・パプキンは甘美な妄想を体現するため、石のように重く冷たい現実を、(たぶん)社会的に抹殺される覚悟をもって、動かそうとする。パプキンは言う。
「ドン底で終わるより、一夜の王になりたい」
だが、彼は、一夜では終わらなかった。
彼は受けた。大衆に必要とされた。成功すれば、狂気は信念とされ、現実が妄想を超える。