2004年(日本)
監督
山田洋次
原作は藤沢周平の短編時代小説。舞台は海坂(うなさか)藩という架空の藩です。モデルは庄内藩と言われています。庄内地方は作者の出身地です。
感想
・海坂藩の下級藩士・片桐宗蔵(永瀬正敏)の朴訥な人柄と庄内地方の方言が、日本の原風景の中で静かに響く。
・片桐家のかつての奉公人・きえ(松たか子)の白い肌に浮かぶ目の隈。虐げられし人の相貌がなんとも痛々しい。『野菊の墓』的な世界か…
・ひとかどの侍(宗蔵)が、なりふり構わずオナゴ(きえ)を救う。かっこいい。
・宗蔵ときえの日常。ささやかな幸せ。完全にプラトニックな関係だが、世間はそう見ない。宗蔵が妾を囲ったと思っている。宗蔵はきえを実家に帰す決意をする。果たしてこの純愛の行方は…?
・組織(藩)と個人(宗蔵)の対立。宗蔵のまっすぐな性格は組織に馴染まない。とはいえ、宗蔵も侍。藩命には抗えない。
・刹那の一閃!鬼の爪!
☆こうなってくれたら、という観客の期待に見事に応えてくれる作品です。