たまに、ひたすら歩く人(主に男性)が入所される。
ご本人にとっては普通に歩いているだけなのかもしれないが、第三者から見たら、早歩きだ。
食事、トイレ、睡眠の時間を除いて、ずっと歩いている。職員も止めはしない。
離設(施設から出ていってしまうこと)しないよう留意して業務を行う。
ずいぶん前のことになるが、食事も睡眠も取らないで、トイレにも行かないで、夜通し歩き続けるご老人がいた。
〝どうしても行かなきゃならん〟
止めても、そう言われた。
結局、朝、精神科に受診となり、そのまま入院となった。
何かしなければ、という強迫観念は実は我々の中にもあるのではないか。
そのとき、ふと思った。